くるみチョコ


ルピシアの冬限定のくるみチョコ、
王子達の内祝いの品に送らせていただいているお菓子です。
あたしがすごーく好きなお菓子。
このくるみチョコを教えてくれたのが、
K先生でした。


高校生のころ現代文を教わりました。
独特の文字で黒板にゆっくり文字をお書きになる先生でした。
なるほどと思わされることが多い授業でした。


講師になってからは同じ教科目を教えることが多く、
隣の席で色々と教えていただきました。
建て直す前の校舎で働いていたころ、
先生は研究室の窓を細く開けておく癖がありました。
とても暑がりでした。
季節ごとで素敵な織りのジャケットをお召しになっていました。
本当に暑い時期には涼やかな色目の開襟シャツ姿で、
扇子をお使いになっていました。


デジタルカメラを使うようになってからは、
ご自宅近くの公園の花やお孫さんの写真を撮影しては、
たまに「ほら」と言って見せてくださいました。
物語のある写真を撮影することがお好きでした。


お昼によく召し上がっていたのは鴨のおそばとおにぎりランチ、
たまにあたしも真似をして注文し、並んで同じものを食べたりしました。
バレンタインの日、手作りのチョコを差し上げたら、
「お返しに少しいかがですか」といって、
くるみチョコをティッシュの上にざざっと分けてくださって、
「先生こんなに沢山!」とあたしが言うと、
「どうぞー、娘がくれたんです」と笑っていらっしゃいました。


近代文学に造詣が深く、
ご自身の深い哲学をお持ちの先生でした。
退職なさってからは折々にメールや葉書をくださって、
「無理していませんか」「がんばってください」
「お子さんは大きくなられたことでしょうね」と、
あたしの毎日を励ましてくださいました。
お気遣いいただいていたことに心から感謝ばかりです。


大好きでした。
かねて患っていたご病気でお亡くなりになったと、夜、連絡を頂きました。
あたしは「えーっ」と叫んだきり、
言葉が出ませんでした。
季節がよくなったら先生のご自宅近くの公園で会いたいものですね、
子供も連れて、と年賀状などで交わした約束は、
果たせないままになってしまいました。
心よりご冥福をお祈り申し上げます。
どうぞ安らかに。